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助産院で出産をするメリットは?

出産後

自身を含め周りに、助産所(助産院)で出産されたことのある人はいらっしゃいますか?ここ数年で助産所(助産院)での出産数は減少して1%に満たない割合です。長野県内では、出産を扱う助産所(助産院)数が多いので1.2%くらいですが、県によっては分娩を取り扱う助産所がないところもあります。

決して多い人数とはいえませんが、支持する人がいるということは、病院で出産する際には得られないメリットがあるということ。当記事では、出産する際に助産所を選ぶメリットをご紹介します。

目次

助産所(助産院)で出産するメリット

妊婦さん

①アットホームでリラックスできる

以前の記事でも触れましたが、助産所の最大の特長はやはり、アットホームな温もりのある空間で安心して出産に臨めるところではないでしょうか。

まず病院の場合、分娩台の上で出産するのが通常ですが、助産所の場合は、布団や畳の上など場所を選べるだけでなく、自身が楽なように、寝転んだり、立ったり、しゃがんだり、体勢も自由にすることができます。

また、妊娠期から妊婦健診などで信頼関係を築いてきた助産師が、出産までずっとサポートするので、リラックスした状態で赤ちゃんを迎えることができます。助産所は多くの妊婦さんを同時に抱える病院と違って、すべて個別対応になりますので、個々の状況やご希望などに合わせて寄り添います。

お母さんは赤ちゃん、そして、赤ちゃんはお母さんの協力なしには生まれてくることができないので、妊婦さんが落ち着けるかどうかというのは出産場所を選ぶうえでの一番のポイントでしょう。妊娠中や出産時だけでなく、産後の心身の状態にも大きな影響を与えます。

②妊婦さん一人ひとりに合わせたサポートが受けられる

先の①とも重複しますが、妊婦さんごとにお話・ご希望をお聞きしながら個別の対応が受けられるというのも大きなメリットです。初産の方は特に不安に思うことも多いでしょうし、2人目、3人目の出産という方も、生まれてくる赤ちゃんの個性もあって、その時々で体調も状況も変わります。

医療機関等では多くの妊産婦さんに対応するための決め事があるので、お一人だけそれに沿わないということはできません。助産所では、可能な限りその方のご希望に合わせた対応をしています。それによって、安心感を持って出産に臨めるのではないでしょうか。

たとえば長い陣痛の間、一人で痛みを我慢しなくてすむようにそばに付き添い、順調に陣痛が来るように補助したり、痛みを少しでも和らげられるように「手当て」をしたりして、そばに寄り添って、臨機応変に柔軟なケアを行います。

妊婦健診の際も、食事や生活習慣などについて、一人ひとりに合わせてきめ細やかに説明します。お産の進み方や赤ちゃんの生まれ方、産後の授乳の仕方、沐浴の仕方なども個別にお伝えします。

また、体を整えるためにマッサージなどのケアを行います。出産までの何回もの健診等で、やりとりをしていくことで自然と信頼関係が築かれ、なにか困ったときに気軽に相談できる助産師は母のような存在になれるとよいと思います。

③家族にも配慮してくれる

妊婦健診のときからパートナーの方やお子さま、あるいはご自身の親御さんなど、家族と一緒に通える助産所が多く、妊娠中からいずれ来る我が子を出迎える態勢を家庭全体で整えることができます。

(現在は、基本的な新型コロナウイルス感染予防対策を厳守しておりますので、体調や行動履歴などをお聞きしながら家族の同席対応をしております)

もちろん出産時もご家族が立ち会い、赤ちゃんが元気であれば、出産直後から肌を合わせて抱っこでき、その後もずっと母子同床で過ごします。(赤ちゃんが泣いてお母さんが疲れてしまいそうなときは、いつでも赤ちゃんの対応をいたします)誕生の瞬間から親子の密な関係を築いていくことができるでしょう。そのため、退院前から育児に向けて自然と心構えができると考えられます。

コロナ禍続く現在においては、出産時の家族の立ち会い、面会が難しいという病院も多くなりましたが、限られた人数のみが接する助産所の場合、感染対策を万全にしたうえで臨機応変に対応をしております。

④会陰切開をしない

病院で出産する場合は、赤ちゃんの体を出しやすくするために会陰切開をすることが多くありますが、助産所では基本的に行えません。お母さんがリラックスしていると会陰は自然と伸びてくるのですが、もしも、出産の際に少し裂傷ができても自然にできた傷なので、神経や血管の損傷が少なく、治癒も早いといわれています。(場合によっては嘱託医に縫合していただくこともあります)

助産所(助産院)なら産後のケアも丁寧に対応

赤ちゃん

①出産から産後まで助産所で過ごせる

出産後からお母さんと赤ちゃんはずっと一緒に過ごします。そのうえで、まず大事に考えていることは、お母さんがゆっくりと心身ともに体を休めることです。「産褥」というのは、産後、体が回復するまでの期間のこと。「床上げ」ともいわれますが、「褥」という字も布団のことを指し、「床」同様に眠るための場所を示すため、長い間、体を安静に休ませることが必要だということがわかります。

それから授乳がうまくできること、母乳分泌を良くすることも重視しています。お母さんが体を休めつつ授乳がうまくできることはとても大事なので、必要時には昼夜を問わずに授乳のケアや支援を行います。赤ちゃんが泣いてしまい、お母さんが休めないときには代わりに抱っこをしてあやすといった対応もいたします。

また、体を休め、母乳分泌を良くするためには、産後の食事も大事です。自家栽培の野菜や旬の食材をふんだんに使った食事を提供します。とにかく入所中はゆっくりと休んでいただくことを心がけています。

②退院後のケアも充実

退院後も、お母さんの母乳・赤ちゃんの黄疸・体重などが順調になるまで随時お家に伺って経過を見させていただきます。そして2週目、3週目、1カ月健診と産後もケアや助言を個々の状況に合わせて行います。そして卒乳までずっとつながっていられることを願っています。

③産前産後のクラスでコミュニケーションが取れる

助産所では産前産後にマタニティエクササイズや赤ちゃんとスキンシップが取れるクラスなどを行っています。テーマに沿って学ぶことができるだけでなく、ママ友同士の交流も図れるので、気軽に出産や育児に関して話し合ったり、子ども同士の交友関係を広げたりできます。このクラスは、出産場所は限定せずどなたでもご参加いただけます。
(コロナ禍続く現在においては、オンラインで実施しています。)

もちろん気になることがあれば助産師さんに相談することもできるため、出産や育児に関することだけでなく、母乳トラブルや卒乳の時期など個々に対応可能です。

産後ケア事業を行う助産所

産後ケア事業は、助産所が自治体の事業の委託を受けて行っています。育児に不慣れ、授乳の仕方がうまくいかない、赤ちゃんの対応に不安があるなど、助産師の助言やケアが必要な場合に利用できる事業です。具体的には産褥入院・日帰りケア・家庭訪問などを行っています。

私は産後ケア事業においては家庭訪問を重視しています。自宅で、どのようにできるかというのが今後の子育てには大事だと思うからです。しかし、昼夜連続的な支援や休息が必要なときは、産褥入院や日帰りケアで滞在することも有効です。

「里帰り出産」の場所としての助産所

里帰り出産

「里帰り出産」とは、その名のとおり、実家に戻り、その近くで出産をすること。産前産後の妊婦さんの負担を減らすことが目的で、家事や育児を親など家族に任せることで、体を休ませながら赤ちゃんのお世話に専念できるメリットがあります。

特に日数に決まりなどはありませんが、妊婦健診で問題がない場合は、だいたい32週ごろには帰省して、産後は1か月健診をひとつの目安にすることが多いかもしれません。妊婦さんはもちろん、ご家族など周りの方々のタイミングのいいときに移動するのがよいでしょう。とはいえ、出産が近くなってからの移動はおすすめできないので、事前に計画を立てて行うようにしてください。

里帰り出産で助産所を利用される場合は、助産所出産を決めたときから、毎回の妊婦健診の様子をメール等で連絡していただき、健康状態を把握し、そのときの状況に応じて助言します。急に妊娠9カ月になってお会いするのでは、出産に向けての関係性が充分に構築できません。早い段階から、顔見知りになっておきたいと考えています。

産前産後は体力も万全ではなく、また、精神的にも不安定になりやすいです。特にパートナーの方が仕事で忙しいと家事も育児も一人で行う時間が多いということになりかねないので、安心できるご家族に甘えることができれば、体も心もリラックスできるのではないでしょうか。親子関係の再構築の時期でもあります。

特に助産所では先に挙げたようにご家族の方々と協力しながらアットホームな空間で産前、産後のケアをサポートできるというメリットがあるので、ご自宅近くの助産所に里帰り出産すると、より頼もしさを感じられるかもしれません。

助産所では妊婦さんが主役

妊婦さんと子ども

助産所も病院も出産する場所という点では同様ですが、一般的に、助産所は出産を生理的視点で捉え、病院は病理的視点で捉えるといわれています。実際、どちらの面も正解、不正解ということはなく、本来生理的なものであっても、その過程において病理に急変することも考えられるのが出産というものです。

そのため、出産する場所に助産所を選ぶか病院を選ぶかは妊婦さんの意思で決めるべきでしょう。出産において、どんな点を重視し、なにを必要とするのか、それによって答えは変わるはずです。

ただ、病理的視点で出産を捉える病院においては、どうしても赤ちゃんを主役に優先させる向きがありますが、助産所においては、主役は妊婦さんだといえましょう。妊娠から出産、そして産後まで、一番体にも心にも負担の大きい妊婦さんを最大限に労わり、サポートする力が備わっているのが助産所だといえそうです。

助産所には医師がいないということに不安を覚える方もいるかもしれませんが、医療連携は欠かすことができず、嘱託医療機関・嘱託医師との連携のもと行っています。まずはおひとりでも、ご家族同伴でも、話を聞いて雰囲気を見て、そこから判断してみませんか?

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